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動的配列

動的配列は、1 つの数式が複数の値を返し、その結果が周辺セルに spill(こぼれ出し)する仕組みです。数式テキストを保持する anchor cell と、計算結果が射影される spill range の組で表現します。Formulon は spill の shape、依存関係、衝突挙動を再計算の一部として管理します。

用語: spill / spill range

動的配列数式が複数の値を返したときに広がる矩形領域のこと。左上のセル(anchor)が数式テキストを持ち、それ以外のセルは結果の読み取り専用射影になります。

用語: anchor cell

動的配列数式の本体を保持するセル。anchor を編集または消去すると spill 全体が変化します。spill 内の非 anchor セルは直接編集できず、消去操作は anchor が変わるまで no-op です。

挙動の概要

  • spill range は数式結果の shape(scalar / 行 / 列 / 2 次元配列)から決まる。
  • shape が変わる数式は依存セルを dirty にし、それらの spill anchor を再計算する。
  • spill 範囲が非空セルを上書きしそうな場合は #SPILL! を返し、データを黙って上書きすることはない。
  • 暗黙的 broadcasting で次元が合わない場合(例: 3 行と 5 行を混在)は、関数族ごとの Excel error 規則に従う。

spill する関数の例

text
=SEQUENCE(5)
=UNIQUE(A1:A100)
=SORT(A1:B20, 2, -1)
=FILTER(A1:C50, B1:B50 > 0)
=LET(x, A1:A10, x * 2)

動的配列以前の Excel で書かれたワークブックとの後方互換のため、暗黙交差 (@) も引き続きサポートします。

再計算との連携

再計算 engine は anchor ごとに以下の spill メタデータを保持します。

フィールド用途
anchor address数式本体の sheet / row / column
結果 shape直近の成功時の行数 × 列数
spill errorspill が成立しなかった場合の #SPILL!、それ以外は null
range の依存元spill 内のいずれかのアドレスを参照しているセル

shape が変わると、旧 spill 矩形・新 spill 矩形いずれかにかかるすべての依存セルが dirty 化されます。

spill 状態の検査

WASM / Native Node は spillInfo(sheet, row, col) を公開しています。MCP の formulon_trace ツールは session から precedent / dependent / spill 情報を読み取れます。#SPILL! の原因となるセルを特定したいときに有効です。

互換性の注意

動的配列の挙動はワークブック単位のフラグや、同じシート内に旧来の CSE 配列が混在しているかどうかにも依存します。混在ワークブックを扱うときは、結果を信頼する前に oracle fixture と突き合わせてください。

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